このサイトでは、法律上の区分としての「中小企業」ではなく、
オーナー社長が舵を取る年商1〜30億クラスの非上場・独立系企業を、一貫して主な対象としています。
私はこうした企業を、便宜的に「SmallBiz(スモールビジネス)」と呼んでいます。
ここでは、
- 「中小企業」と「SmallBiz」の違い
- なぜ、その違いが成長軌道の設計にとって重要なのか
を簡潔に整理します。
中小企業とSmallBizの違い(簡潔な整理)
中小企業(一般的な扱い方)
- 定義の軸
資本金・従業員数・売上など、法律や制度上の規模基準で区分される。 - 主な用途
中小企業施策、金融支援、補助金・助成金などの対象範囲を決めるための枠組み。 - 見られ方
大企業を標準とした「小さい版の企業」として、平均的なモデル像が想定されやすい。
SmallBiz(このサイトでの定義)
定義の軸
規模ではなく、次のような特徴をもつ企業を指します。
- オーナー社長の意思決定が、組織全体に素早く反映される
- 人・モノ・カネに明確な制約があることを前提に動いている
- 変化に対して、構想から実行までの距離が近く、柔軟に方向転換できる
- 顧客・地域・現場との距離が近く、感度の高いフィードバックが得られる
対象とするレンジ
- 年商1〜30億程度を中心とするオーナー企業
- 一部ではより大きな規模でも、意思決定構造としては上記の特徴を保っている企業
見方
- 大企業の縮小版ではなく、別の存在構造を持つ経営主体として捉える。
- 規模が同じでも、意思決定構造や資源制約のあり方によって、SmallBizかどうかが変わる。
このサイトやサービスでは、企業を「中小企業」という法的な箱で一括りにするのではなく、
オーナー社長の意思決定と資源制約のあり方に注目し、SmallBizとして捉え直すところから始めます。
なぜこの違いが「成長軌道設計」に重要か
成長軌道を設計するとき、「自社をどういう前提で捉えるか」は、打ち手の選び方に直結します。
行政や金融、支援機関などでは、多くの場合「中小企業」という枠で企業を扱います。
その結果、
- 規模や業種ごとの「平均的なモデル」に寄せて考える
- 画一的な支援メニューやテンプレートに当てはめる
という発想になりがちです。
一方、オーナー社長が舵を取るSmallBizを対象とする場合、
そうした前提のままでは、現実と合わない成長軌道が描かれてしまうことが少なくありません。
ここでは、その違いが成長軌道設計にとって重要になるポイントを、3つに絞って整理します。
1.「平均的な中小企業像」を前提にすると、成長パターンを誤る
従来の“中小企業”の扱い方では、
- 一定の売上成長と雇用拡大を前提にした計画
- 業種ごとの「標準的な収益構造」をベースにした指導
- 補助金・助成金など、制度側のメニューに合わせた投資判断
が想定されることが多く、「平均的な中小企業像」に寄せていく形になりがちです。
しかし、オーナー社長が舵を取るSmallBizの現実は、
- 社長一人の判断とリスク許容度で、成長スピードも方向も大きく変わる
- 同じ業種・同じ規模でも、「どこで稼ぎ、どこに負担がかかっているか」が全く違う
- 制度や補助金に合わせて動いても、会社としての成長軌道が良くなるとは限らない
というものです。
SmallBizとして捉えることで、
- 「平均的な中小企業像」ではなく、
- その会社固有の収益構造と強み・制約
から成長パターンを設計できるようになります。
2. 中小企業施策前提の「組織・人材」モデルが、そのまま当てはまらない
従来の“中小企業”向けの議論では、
- 部門や役職を前提とした組織図
- 職種ごとの人員計画・採用計画
- 評価制度・等級制度を前提とした人材マネジメント
がモデルとして提示されることが多く、「規模が大きくなるほど、それに合わせて組織も整えていく」という前提で話が進みます。
しかしSmallBizでは、
- キーマン一人の異動・離職が、事業全体に直接響く
- 一人が複数の役割を兼ねる状態が当たり前
- 外部パートナーやネットワークを含めて「拡張された組織」として機能している
といった実態があります。
SmallBizとして成長軌道を設計する場合、
- 「理想的な組織図」に会社を近づけるのではなく
- 「実際に動いている人とネットワーク」を前提に、どこに厚みを持たせ、どこは外部と組むのか
を設計することが重要になります。
3. 中小企業の「安全運転モデル」とSmallBizの「人生時間軸」は違う
中小企業向けの金融や支援では、
- 過去の財務実績と、緩やかな安全運転の継続
- 雇用維持や地域貢献といった公益的な視点
が重視されることが多く、「潰さないこと」を前提にした計画が優先されがちです。
一方、オーナー社長が舵を取るSmallBizでは、
- 社長個人の年齢・健康・家族・相続といった要素が、会社の時間軸を決める
- 「自分の代でどこまで伸ばすのか」「何を次世代に渡すのか」が、成長軌道の前提になる
- 場合によっては、あえて成長速度を落として安定性を高める選択も現実的な選択肢になる
といった、「個人の人生と会社の時間軸」が密接に結びついています。
SmallBizとして捉えることで、
- 形式的な「中期経営計画」ではなく
- オーナー社長自身の時間軸と出口(承継・売却・縮小など)を踏まえた成長軌道
を設計することができます。
このサイトやサービスでは、「中小企業」という規模区分ではなく、
オーナー社長が意思決定の中心にいる企業=SmallBizとして会社を捉えることで、
- 資源制約とリスク許容度
- 実際の組織と人の動き方
- オーナー社長の人生時間軸
を前提にした、現実的かつ納得度の高い成長軌道の設計を重視しています。
詳しく学びたい方への資料・リンク
SmallBizという考え方や、成長軌道の設計について、もう少し深く知りたい方のために、いくつかの資料を用意しています。
書籍・電子書籍(SmallBiz Practice Guide シリーズ)
・スモールビジネスの持続的成長戦略(SmallBiz Practice Guide Vol.1)
── 成長の「土台」をどう整えるか
・スモールビジネスの質的成長戦略(Vol.2)
── 事業と組織の「質」をどう高めるか
・スモールビジネスの量的成長戦略(Vol.3)
── 規模の拡大と再現性の確保
・スモールビジネスの戦略サファリ(Vol.4)
── 9つの成長戦略を俯瞰するガイドブック
それぞれの詳細や購入ページへは、書籍のリンクからご覧いただけます。
解説ページ・PDF・小冊子(smallbiz.jp 内)
・SmallBizとは何か
── 中小企業との違いと、4つのコア要素を整理した解説ページ
(smallbiz.jp 内の「SmallBizとは」ページへのリンク)
・成長軌道の設計とは何か
── 「今の延長線上ではない10年の描き方」を整理した解説ページ
(smallbiz.jp 内の成長軌道解説ページへのリンク)
・SmallBiz Compass(PDF小冊子)
── オーナー社長が、自社の成長軌道を見直すための視点をまとめた小冊子
(ダウンロードページへのリンク)
これらの資料は、すべて
・オーナー社長が、自社を「中小企業」ではなく「SmallBiz」として捉え直す
・そのうえで、どのように成長軌道を設計していくか
という視点で整理しています。
成長軌道診断・成長設計サービスとの関係
考え方・理論はあくまで「判断の土台」であり、答えそのものではありません。
実際の成長軌道は、各社の事業構造・資源制約・オーナー社長の価値観によって異なります。
成長軌道診断・成長設計サービスでは、ここで述べたような考え方を前提にしつつ、
- 個別の企業の状態
- 社長の考え
- 外部環境の変化
を踏まえて、具体的な成長シナリオと実行計画に落とし込んでいきます。
サービスの進め方や料金、事例については、
企業向けサービスのページおよび smallbiz.jp の専用ページをご覧ください。